忍者ブログ
お気に入りの映画を紹介。好きな作品を見つけてもらえたら嬉しいです♪
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


メランコリア
(原題:MELANCHOLIA)
2011年デンマーク映画



「ダンサー・イン・ザ・ダーク」以来、ずっと苦手で避けてたラース・フォン・トリアー監督ですが、先日見た「アンチクライスト」ですっかりその世界観の虜になってしまいました。
「アンチクライスト」の次に撮ったのがこの「メランコリア」です。

簡単に説明するなら、惑星衝突により人類絶滅寸前の地球で暮らす鬱病のおねーちゃんを描いた作品。…と書くと、何じゃそりゃ。って感じですね。
主人公ジャスティンは「スパイダーマン」シリーズのメリー・ジェーンを演じてたキルステン・ダンスト。
姉のクレアは「アンチクライスト」に続いてのトリアー監督作品出演となるシャルロット・ゲンズブール。
クレアの旦那のジョン役は、「ミラーズ」「ロストボーイズ」「スタンド・バイ・ミー」の…というよりも「24」のジャック・バウアーと言った方が分かりやすいキーファー・サザーランド。
脇役も豪華で、「愛の嵐」のシャーロット・ランプリング、「エレファント・マン」「エイリアン」のジョン・ハート、「悪魔のはらわた」「サスペリア」の他にトリアー監督作品の常連でもあるウド・キアーなど。

プロローグは美しく幻想的なスローモーション映像で圧倒されます。
空から降り注ぐ死んだ鳥たち。
2つの方向に影を落とす木。
何かから逃げようとしているのに、ぬかるみで足を取られて転びそうな母親。
倒れ込む馬。
惑星、三日月、満月の前に立つ花嫁、少年、女性。
体中に蔦が巻き付いて上手く前へ進めない花嫁。
水に浮かんで流されてゆく花嫁。
地球に衝突する惑星。。。

スローモーションで見せるこの一連の映像、後に主人公ジャスティンの頭の中に現れた映像である事が判明します。
このプロローグ以降の物語は二部構成です。

第一部は「ジャスティン」。
ジャスティンとマイケルとの結婚式が舞台。
ジャスティン達の姉、クレアとその旦那ジョンの豪邸で盛大な結婚パーティが開かれていた。
しかしジャスティンはパーティに遅刻した上に、突然パーティを抜け出して消えてしまったり、子供部屋で居眠り。
客をほっぽらかして客室で入浴したりと奇行の連続。
みんなが楽しんでいるパーティの中で、ジャスティンだけが憂鬱そうにしていた。彼女は鬱病を患っていたのだった。
しかし、ホストとしてパーティの費用を負担し、準備の為に時間を割いてきたクレアとジョンは、披露宴を成功させるべくジャスティンを責め立てる。
だが、追い詰められたジャスティンの行動はどんどん異常になっていき、そんな彼女に愛想をつかした新郎マイケルは別れを告げてパーティ会場から去っていってしまうのだった。

第二部はジャスティンの姉「クレア」が主人公。
結婚式の失敗により生きる気力を失った妹を引き取り、自宅で面倒を見ることにしたクレアとジョン。
しかしその頃クレアは地球に向かってくる惑星の事を気にかけていた。
地球に衝突すると言う専門家もいる。
しかし夫は絶対にぶつからない、美しい天体ショーが見れると言うが、クレアの不安は募るばかりだった。
ところが、惑星が地球に向かっていると知ってからジャスティンに生気が戻り始めた。
ジョンは天体望遠鏡を片手に天体ショーを連日眺めていた。
しかしある日、庭に望遠鏡を残して姿を消してしまった。
クレアが空を見上げると、以前にも増して惑星メランコリアが大きく見えるようになっていた。
ジョンに伝えようと豪邸内を探し回ると、厩の中で服毒自殺した彼の遺体を見つけるのだった。
息子やジャスティンに気付かれぬよう、遺体にワラを被せて隠すクレア。
狼狽するクレアに対し、迫り来る危機を目の前にしても冷静に振舞うジャスティン。

姉妹と地球を待ち受ける運命は。。。

静かに運命を受け入れようとするジャスティンと、逃げ場も無いのに右往左往するクレアが対照的。
第一部の結婚式では正気な人間として振舞っていたジョンは、地球の危機を悟ると真っ先に自らの命を絶ち、同じくクレアも現実が受け入れられずパニック状態に陥る。
また結婚式では常軌を逸した花嫁だったジャスティンが、異常な状況に置かれた第二部では冷静な女性へと変貌します。
クレアの幼い息子レオは、取り乱す母親しかいなかったら運命を受け入れる事はできなかったでしょう。
でもジャスティンがいたからこそ、穏やかに最後の時を迎えられたのだと思います。
それにしてもラストシーン、クレアは息子の手を放しましたよね。あれはひどいわ。

 
PR

アンチクライスト
(原題:ANTICHRIST)
2009年デンマーク/ドイツ/フランス/スウェーデン/イタリア/ポーランド合作




すごい映画でした。
美しく、悲しく、恐ろしく、そしてとても深い作品です。

ラース・フォン・トリアー監督って今まではちょっと苦手でした。
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」は作品自体とビョークの持つ暗さに耐えられず、途中でリタイヤ。
「ドッグヴィル」もあの独特な撮影スタイルと暴力に馴染めず途中でリタイヤ。
普通はどんなにつまらない映画でも最後まで見たうえで結論を出したいと思ってるんですが、この監督の上記2本は体が生理的に受け付けなかったです。

なのにまた手に取ってしまった「アンチクライスト」。
これも例の如く暗いお話なんですが、これは普通に見れた。
いやいや、それどころか最後までグイグイ引き込まれながら見ちゃいました。

ウィレム・デフォーとシャルロット・ゲンズブール演じる夫婦がベッドで激しく愛し合っている最中、幼い息子はベビーベッドから抜け出し、アパートの窓から路上へと転落してしまう。
まず冒頭のこのシーンがとてつもなく美しい。
子供の命が失われるという悲惨な場面を、感動的なまでに美しく描いてしまうこの監督の感性に鳥肌が立ちました。

息子を亡くした事で精神を病んでしまった妻は病院へと入院するが、セラピストの旦那自ら妻を治療したいと、病院から自宅へと連れ帰ってくる。
治療を続ける中で、回復の鍵は妻が息子と共に訪れていた山小屋にあると判断した旦那は、妻と共にそこへと向かう。
しかし山小屋に来ても妻の状態は悪化する一方。
そんな時、物置の中で過去に妻が書いた論文を見つけた旦那は、妻が悪魔や死に対して強い興味を持っていた事を知る。

ここまでは夫婦のサイコスリラーという感じ。
ところがこれ以降は一気にホラーな展開になっていきます。
キャラ的にウィレム・デフォーが何かやらかしそうだと思っていたら、やらかすのは奥さんの方。
完全にぶっ壊れた奥さん、旦那の股間をぶっ飛ばし、気絶した旦那の足にドリルで穴を開けてグラインダーの巨大な砥石をボルト固定!
目覚めた旦那は隙を付いて逃げるも、足に付けられた石を引きずりながらなのですぐに追いつかれてしまう。
そして山小屋へ連れ戻され、とんでもない展開のラストへと向かっていきます。

肉欲というのはキリスト教でも大きな罪とされていますが、事の最中に息子を失い、その罪によって破滅していく反キリスト夫婦の話だと思って見ていました。
ところが元々奥さんは病んでいたようで、過去に書いた異様な論文、息子への虐待などが明らかになります。
そして最も衝撃的だったのは、窓から飛び出そうとする息子の姿を旦那に抱かれながら黙って見ていたという事実。
そもそもこの夫婦の問題は、映画の冒頭、妻と息子への関心が薄い旦那の態度。
奥さんを追い詰めたのは彼だったのかもしれません…と思いましたがどうでしょう!?
深い映画なので自分の理解が合っているという自信はないです。
暗示的な映像が多いのでそれらが何を表しているのかをよく理解しないとダメですね。
久々に突き詰めたい作品に出会えたので、何度も繰り返し見て内容を完全に理解したいと思います。

ちなみに、「とんでもないラスト」とお茶を濁しましたが、書いちゃいますよ。
自責の念が極まったからでしょうか、奥さんは自分の大切な部分をハサミでジョキ!っと切り取ってしまうのです。
大切な部分ですから日本のソフトでは当然ボカシが入ってます。
股の部分にハサミを持っていって…「ジョキッ」という効果音で何をしたかは想像がつきます。
しかしYOUTUBEで「Antichrist Makeup Effects」と検索するとボカシ無しのシーンも見れます。
勇気のある方はどうぞ。。。
 
 

カリーナの林檎~チェルノブイリの森
2011年日本映画




チェルノブイリ原発事故の影響が残る2004年のベラルーシで暮らす8歳の少女、カリーナのお話。

母親は体調を崩し入院、父親は出稼ぎに行ってしまい、叔母の家に預けられたカリーナ。
しかし叔母は心を閉ざした姪っ子に冷たく当たり、カリーナは自分の居場所が見つけられない。
そんな彼女が大好きなのは、チェルノブイリの隣町で今も一人暮らしているおばあちゃん。
夏の間、カリーナはおばあちゃんの家で楽しく暮らしていた。
しかし夏が終わりに近付き、学校も始まることから叔母の家へ帰る事になった。
また憂鬱な生活に戻り、季節が冬になった頃、おばあちゃんが体調を崩して寝込んだ事を知ったカリーナ。
一人家を抜け出し、バスでおばあちゃんの住む村へと向かう。
おばあちゃんはすぐに元気になったが、今度は入院中の母親の容態が悪化してしまった。
カリーナはそんな母から、みんなが調子悪いのは、チェルノブイリにある悪魔の城(チェルノブイリ原発)から毒(放射性物質)をばら撒いているせいだ、と聞かされる。
そしてついにカリーナまでも倒れてしまい、検査の結果、既に手遅れだという事が判明する。
その後、母親は昏睡状態に陥り、死にゆく病院の友達を見たカリーナはある決意をする。
悪魔の城へ行き、毒をばら撒くのをやめさせると、一人チェルノブイリ行きのバスへと乗り込むのだった。。。

現地で集めたキャストを使い、ベラルーシで撮影された作品ながら、実は日本の映画です。
「アイコ16歳」でデビュー、以降かわいい女の子を題材に映画を撮ってきた今関あきよし監督の作品。
この監督、少女を撮るのが上手い!と言われていたのに、少女にイタズラして何度も捕まっているんですよね。
一連の事件後、あまり名前を聞かなくなってしまい、正直、この「カリーナの林檎」を知るまで存在を忘れていました。
そして久々に名前を聞くきっかけになった新作の主役が8歳の少女。。。おいおい大丈夫か?と思いましたが、そんな心配は無用でした。
変な意味ではなく、瑞々しい少女を撮る力は全く衰えていません。
汚れない純粋な心を持ったカリーナが直面する残酷な現実に胸が締め付けられます。

2004年の製作当時、日本では関心の低さから公開できず…と言う事になっていますが、事件を起こした時期と重なるんですよね。
本当の理由は分かりませんが、とにかく公開されるまで長い時間が必要でした。
そして東日本大震災、福島第一原発事故が発生した2011年、ついに日の目を見る事になります。

監督自身がチェルノブイリまで調査に行き、入念な取材のうえで製作された映画。
これが福島第一原発事故前に公開されていたら何かが違っていたでしょうか?
「たられば」の話なんてしても何も変わりませんが、今からでもこの映画を見る価値は大いにあると思います。

チェルノブイリ、福島の美しい自然を汚し、そこで暮らす人々の生活や命を奪った罪は大きい。
それを改めて痛感した作品です。

 

マイ・ブラザー
(原題:BROTHERS)
2009年アメリカ映画



兵士で聡明な兄サム、刑務所あがりの弟トミーは仲の良い兄弟だった。
サムはアフガニスタンへ派兵されるが搭乗していたヘリコプターが撃墜され、家族の元へ戦死の知らせが届く。
兄の妻グレースはトミーを毛嫌いしていたが、自分と子供達を気にかけてくれる彼と次第に打ち解けていった。
サムの葬儀を終えて暫く経った頃、新しい人生を踏み出した彼らの元へ、捕虜となっていたサムが救出されたと連絡が届く。
一度は諦めた再会を果たした一家だったが、帰還したサムは以前とは別人のように暴力的になっていた。
そして、自分の留守中、妻と弟が肉体関係を持っていたのではないかと疑い始める。。。

兄サムを演じるのはサム・ライミ版「スパイダーマン」のトビー・マグワイア。
弟のトミーは「ジャーヘッド」「ブロークバック・マウンテン」のジェイク・ギレンホール。
サムの妻グレースは「ブラックスワン」「スターウォーズ新三部作」のナタリー・ポートマン。
この演技派3人の競演は見応えたっぷりです。
「スパイダーマン」でミーハー路線に走ったトビー・マグワイアでしたが、この作品では演技派俳優の実力を発揮しています。

兄弟の父役はサム・シェパード、父の後妻役がメア・ウィニンガム。
「セント・エルモス・ファイヤー」ファンとしてはメア・ウィニンガムは懐かしかったな~。
経歴を見ると出演作品は結構見ているんですが、他の作品では全く印象に残っていないのが不思議。

監督は「マイ・レフト・フット」「父の祈りを」等でアカデミー賞の常連でもある名匠ジム・シェリダン。
芸達者な役者たちと名監督のコラボレーションにより、PTSDに苦しむ兵士とその家族の姿を描き出したのが今作。
ジム・シェリダン作品としては重過ぎないので取っ付きやすいです。
でもサムが体験する捕虜生活や、自分を見失って暴れるサムの姿には恐怖を覚えます。

地獄の戦場から命からがら帰ってきたのに、そこで待っていたのは地獄のような日常。
サムが哀れ。

 

明日、君がいない
(原題: 2:37)
2006年オーストラリア映画




予告編を見て、片思いの女の子が自殺してしまう男の子が主人公だと思い込んでました。
でも見てみたらそんな甘っちょろいお話じゃありませんでした。
全然違うストーリーだったのでちょっとびっくりしましたが良い作品でした。

放課後の学校のトイレで自殺した生徒が発見される。
しかし遺体は映さず、誰が亡くなったのかはあえて知らせぬまま、時間はその日の早朝まで遡ります。
そこから遺体が発見される午後2時37分までの半日間、同じ高校に通う数名の生徒達の日常をを追っていきます。
たった半日間の間に、それぞれの生徒が悩む衝撃的な事実が次々と明らかになっていきます。
クローズアップされている生徒達は皆それぞれ悩みを抱えているので「自殺するのはだれか?」と推理しながら見る事になります。

理由は違っても同じように悩みを抱える仲間同士が、互いの存在を意識する事もなく校内で何度もすれ違っているのが切ないです。
お互いを知り、言葉を交す事ができたならばどれだけ気持ちが楽になったか。

最後、明らかになる自殺した生徒。
映画の中でも影の薄い子だったのでかなり意外でしたが、これには監督の深いメッセージが込められていると感じました。
その生徒も悩んでいると思わせるシーンがあったものの、脇役のように影が薄く、観客が気にも留めないキャラクターです。
それに気付いた時、観客はハッとさせられるはずです。
現実の世界でも同じように存在を軽く受け止めている友人、知人がいないでしょうか?
自分自身の事や、自分に極めて近い人に気を取られて、他の人をぞんざいに扱っている事がないでしょうか?
自殺する前に、その生徒の存在や発しているSOSに気付いてあげる事ができたなら、こんな結果にはならなかったかもしれません。
一人一人が周囲の人を尊重し、気にかけてあげる事ができたなら、イジメや自殺は無くなるのではないか?と考えさえる映画でした。

監督は撮影当時19歳と言う若さだったそうです。
だからこそ他人事ではない青春の痛みをリアルに描けたのかもしれませんね。

教育者や子供達と接する全ての人に見てもらいたい作品です。


ビフォア・ザ・レイン
(原題:Before the rain)
1994年マケドニア・イギリス・フランス合作


 
マケドニアとロンドンを舞台にした3話からなるオムニバス作品で、それぞれの話に接点があり、争いの愚かさを描いています。
面白いのは時間軸を組み替える事により、現在を中心に見た時の過去と未来の位置が各話ごとに異なる事です。
これにより観客は永遠に続く争いの中に放り込まれたような錯覚が生じ、出口の見えない暗闇を体験する事になります。
 
1話目のタイトルは「言葉」。
マケドニア人を殺したとして、辺境の修道院に逃げ込んできたアルバニア人の少女と、彼女を内緒で匿った若き修道僧の悲恋。
彼女を殺す為に修道院へマケドニア人が乗り込んでくるが、隠れて難を逃れる少女。
しかし彼女を匿っている事が修道院にバレてしまい、若き修道僧は彼女と共に荒野を歩き始めた。
修道僧の叔父が住むロンドンへ向かおうと決めた時、彼女の家族までもが銃を手に追ってきた。。。
 
2話目は「顔」で、ロンドンの雑誌編集者である人妻が主人公。
彼女の夫婦関係は冷え切っており、マケドニア出身のカメラマンとの不倫関係を結んでいた。
カメラマンにマケドニアで一緒に暮らそうと誘われた彼女は、夫に離婚の意思を告げる為、レストランで待ち合わせる。
そのレストランでは客とウェイターが激しく口論し、客が店の外へと放り出された。
一度は平静を取り戻した店内だったが、暴れた客が銃を持って店へと戻ってきた。。。
 
3話目は「写真」。
一人マケドニアへ戻ったカメラマンのお話。
親戚や古い友人が暮らす村へと住み着いた彼には会いたい女性がいた。
その女性は夫を亡くしたアルバニア人の未亡人で、息子と娘と共に実家で暮らしていた。
ある日、カメラマンの親戚の男が殺された。
そしてその殺人容疑は未亡人の娘にかけられた。。。
 
3話目のラストは1話目のオープニングです。
この無限ループの中で所々時間軸を入れ替えることで、悪夢の中に迷い込んだ気分を味わえます。
時間軸を弄るといっても「パルプフィクション」「バベル」「21グラム」のように盛大に弄り倒している訳ではないので、さほど混乱せずに見れると思います。
この辺の作品を見て「もう懲りた!」という人でも見れると思うので是非チャレンジしてみてください。
 
ということで、「ビフォア・ザ・レイン」は争いの虚しさや愚かさを痛いくらいに教えてくれる素晴らしい反戦映画でした。


ザ・クレイジーズ
(原題:THE CRAZIES)
2010年アメリカ・アラブ首長国連邦合作


 
ジョージ・A・ロメロ監督の傑作パニック映画をリメイクした作品。
 
細菌兵器を積んだ軍用機が平和な田舎町の川に墜落。
飲料水から町民を汚染し、細菌に感染したものは凶暴化して他の人間に襲い掛かる。
やがて街には軍隊が派遣され、感染者を隔離しはじめた。
住人たちを助けに来たと思われた軍隊だったが、実は街全体を焼き尽くすために派遣されたのだった。
町民たちの運命は…。
 
オリジナルは感染者を見た目で判断することはできず、誰が狂人なのかが分からないというのが怖さのポイントでした。
その点、このリメイクの感染者は見た目が完全にゾンビ風なので、風貌や言動で非感染者との見分けは容易です。
「こいつは平気なのか?」という恐怖感は皆無ですが、感染者は俊敏系なのでスリルが生まれています。
またオリジナル以上にホラー色が強くなり、物語のスケール感もアップしているので、これはこれで充分に楽しめます。
 
感染者もクレイジーですが、軍人たちもクレイジーです。
人間の狂気を描いてきたロメロ監督の意思をしっかり受け継いでいる点が嬉しいです。
でも毒々しさはロメロ監督のオリジナル版の方が上なので、こちらも機会があれば見てみてください。
 

P2
(原題:P2)
2007年アメリカ映画



容赦ないグロ描写で毎回びっくりさせられるアレクサンドル・アジャ監督がプロデュースに回った作品。
アジャ風味のスプラッターホラーを期待して見たら、施錠された地下駐車場という閉鎖空間で繰り広げられるサスペンススリラーでした。
 
クリスマスの夜、残業で遅くなったアンジェラはオフィスビル地下の駐車場「P2」へと向かう。
誰もが早々に帰宅したため、駐車場にはもう誰もいない。
車に乗り込みキーを回すがエンジンが掛からない。
地下の警備員室に助けを求め、夜警のトムがエンジンを掛けようとするがやはり不動のまま。
パーティに間に合わないので今夜はタクシーを呼んで帰るというアンジェラ。
トムと別れたアンジェラだったが、オフィスビルは出口が施錠されて外に出ることができない。
仕方なく地下駐車場に戻ると突然照明が消され、真っ暗闇の中を彷徨う羽目に。
その暗闇の中、アンジェラを見つめるトムがいた。。。
 
普通のOLアンジェラとストーカー警備員トムの一騎打ちを描いた映画です。
無人のオフィスビルが舞台なので獲物となる人間がいない。
アジャ風味を期待して見るとそこがちょっと寂しいです。
トムの餌食になるのは、アンジェラにセクハラした上司と、受け付けのおじさんの二人のみ。
セクハラ上司はボコボコに殴られた挙句、車と壁の間に挟まれて悲惨な死を遂げます。
血の量は多いですが、それほどグロい描写ではありません。
受け付けのおっちゃんは地味に死んでます。
 
あくまでも見所はアンジェラVSトム。
でも閉ざされた地下駐車場というシチュエーションはかなり怖いです。
自分が同じように深夜の地下駐車場に閉じ込めたら号泣しますわ。
 
アレクサンドル・アジャならではのグロ描写さえ期待しなければ、平均点以上のサスペンススリラーだと言えます。



ハチェット
(原題:HATCHET)
2006年アメリカ映画
 


森の置く深くでひっそりと暮らす父親と奇形児の息子ビクター。
しかし町の子供たちのイタズラにより小屋が火事となり、息子を助けようと父親は斧でドアを破った。
しかし運悪くドアの向こうに立っていた息子の頭に斧が刺さってしまう。
息子を殺してしまったと思った父親は、傷心のまま10年後に死んでしまう。
ところがビクターは死んでおらず、今でも森の中で父親を探しながら彷徨っていた。
 
その森へモーターボートでツアーに訪れた一行がいた。
しかしボートが途中で座礁して身動きが取れなくなり、歩いて森を脱出する事になってしまう。。。
 
この観光客たちが一人ずつ血祭りに上げられていく訳ですが、とにかくストーリーがシンプル。
奇形児が親を求めて彷徨うなんてまんまジェイソンですし、展開には何のひねりも無く、ただひたすら直球勝負で意外性ゼロ。
さらに舞台となる夜の森は景色がどこも似ていて、ずっと同じ場所に留まって演技しているように思えます。
 
ただ、ホラー映画ファンへのサービス精神は旺盛。
まずビクターとその父親役を一人二役でこなすのは、「13日の金曜日」シリーズ後半でジェイソンを演じ続けたケイン・ホッダー。
オープニングの記念すべき最初の犠牲者はフレディでホラー映画界のアイドルになったロバート・イングランド。
ちょい役でトム・サヴィーニの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」「ファイナルデスティネーション」「キャンディマン」などに出ていたトニー・トッドも出演。
製作者自身もきっとホラーが大好きなんだと思います。
 
スタッフの中で目を引いたのは特殊メイクのジョン・カール・ビュークラー。
エンパイアピクチャーズの黎明期から黄金期を支えた特殊効果マンであり、「死霊のしたたり」「フロムビヨンド」など、いい意味でB級テイスト溢れるグログロ映像が素敵でした。
80年代後半はメジャー作品にも多数参加し、「13日の金曜日PART7」では監督も務めていましたね。
「ハチェット」では素手で内臓を引きずり出したり、人体を真っ二つに引き千切ったりと派手にやっています。
中でも素手でおばさんの上顎と下顎を掴んで、口を裂いちゃうシーンはすごいです。
頭蓋骨を千切られ、下顎の上で舌ベロがペタンペタン踊るのは名シーンかも。
ただ、今をときめくグレッグ・ニコテロなどの特殊効果に見慣れていると、ジョン・カール・ビュークラーの効果はややチープでリアルさは弱めです。
でもこのような低予算映画はこれくらいが味があっていいのかもしれない…という変な説得力を感じさせる辺り、流石はB級映画で大活躍した人ですね。
 
2000年代のスラッシャームービーとしては特出した魅力や個性がある作品ではありません。
でも1980年代に量産された「13日の金曜日」の模倣作品群を見るようなつもりで見ればそれなりに楽しめると思います。
 

血みどろの入江
(原題:A BAY OF BLOOD)
1971年イタリア映画


上が予告編ですが、良く分からないので下にもう一つ動画を貼っておきます。



リゾート開発が計画される入り江の豪邸で老夫婦が何者かに殺害され、親戚や関係者が集まってくる。
しかし一人、また一人と、残酷な手口で殺されてゆく。犯人は誰なのか。。。
 
イタリアのホラー映画の巨匠監督であるマリオ・バーヴァの作品。
脚本もバーヴァですが、原案はダルダーノ・サケッティ。
サケッティさんはイタリアの人気スプラッター映画には非常に高確率で名前が登場しますね(笑)
 
内容はサスペンス調のジャーロかと思いきや、スプラッターと呼べるくらい残虐な殺人シーンが用意されています。
これらシーンはこの年代としてはかなり衝撃的なもの。
「13日の金曜日」はこの作品をパクっていると言われていますが、上の動画を見てもお分かりのように、顔面をナタで割られるシーンは13金の1作目、事の最中に重なったまま串刺しにされる男女は2作目で見られたシーンにそっくりです。
余りに似ているのは単なる偶然ではなさそうですが、驚きなのは「血みどろの入江」が製作されたのは「13日の金曜日」より9年も前の1971年ということ。
後年のスラッシャームービーでは当たり前のショッキングなシーンが、こんな前に製作されていたというのは意外でした。しかもクオリティも高い。
特に顔面にナタが叩き込まれる場面のインパクトは相当デカイです。
そんな特殊メイクを手掛けたのは何とあのカルロ・ランバルディ。
その名前を聞けばクオリティの高い特殊効果も納得です。
 
独自の映像美学を持つマリオ・バーヴァは、細かいシーンにも拘りを持って作っているのが分かります。
細かいシーンや無造作に置かれた小道具なども気にしながら見ると色々な発見があって楽しいです。
ただ、美しい入江の風景を頻繁に入れるのは少々しつこいですが(笑)
 
ホラーだけではなく、様々な娯楽作品も手掛けてきた監督ですので、退屈させられる事はありません。
犯人探しの結末は思ったほどの驚きはありませんが、その後のオチはなかなか強烈です。
 
80年代スラッシャーホラーの原点ともいえるこの作品、ジェイソンなどが好きな方は一度見ておいては?



[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7
«  Back :   HOME   : Next  »
カウンター
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
最新記事
(07/02)
(06/18)
(06/17)
(06/12)
(06/12)
(06/12)
(05/09)
(05/09)
(05/01)
(04/30)
(04/30)
(04/27)
(04/27)
(04/06)
(03/27)
(03/27)
(10/12)
(10/02)
(10/01)
(09/01)
ブログ内検索
最古記事
(03/07)
(03/07)
(03/07)
(03/08)
(03/08)
(03/08)
(03/08)
(03/08)
(03/08)
(03/10)
(03/10)
(03/12)
(03/12)
(03/15)
(03/20)
(03/20)
(03/26)
(03/26)
(03/26)
(03/26)
最新トラックバック
プロフィール
HN:
みっちぃ
性別:
男性
趣味:
アメ車でドライブ
自己紹介:
アメ車が3度のメシより大好物!カマロ、ダットラ、タホ、キャバリエと乗り継いで、今はマスタングに乗っています♪アメ車好きになったのは、幼い頃、映画の中で走り回る姿に憧れて。乗ると映画の主人公気分が味わえるアメ車は、映画ファンの方に超おすすめのクルマですっ!
ちなみにこのサイトは、ホームページ「BOTIE MANIA~アメ車に乗ろう!!」の映画紹介コーナーをブログ化したものです。
最新コメント
バーコード
アクセス解析
フリーエリア
忍者ブログ [PR]